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琥珀染

太古の輝きが蘇る 久慈の琥珀染

琥珀は、太古の樹木の樹脂が変化して出来た、いわば「樹脂の化石」です。 時には昆虫や植物の化石を包み込むものもあり、生命のDNAを受け継ぐ学術的にも大変貴重なものとされております。 

ヨーロッパでは、“人魚の涙”“太陽の化石”と呼び、古くは薬やお守りとして、後には信仰や権力の象徴として珍重された宝石でした。

久慈地方は日本最大の琥珀産地であり、宝飾品に加工されるものとしては世界最古、中生代白亜紀後期の恐竜時代のものです。

琥珀染には、この琥珀原石をパウダーにして使用しています。

琥珀は粉にしても水に溶けず、染料に向かないといわれていました、琥珀染めの研究に取り組んでいる京友禅伝統工芸師の椎名淳夫氏(京都)に開発を依頼し、琥珀染料の液状化に成功しました。

琥珀染の特徴は、琥珀そのものを発色させるのではなく、琥珀を液状化させることで他の染料を混ぜて直接生地に柄を描く「定着液」の作用と、琥珀の作用で他の染料・水分をはじく「半防染」の作用があるので染料と染料が重なる時に琥珀の分量の調整で完全にはじかせたり混ぜ合わせることが出来ることです。

その染料で柄を描き、その上から地色を引きます、琥珀染料は水分をはじくので、琥珀の含有量により滲み、ぼかし、グラデーションが表現されます。「ろうけつ染」によく似た「半防染」という技法です。

「久慈の琥珀染」染職人中田悦子氏
藍染め・京友禅を修業し、山葡萄染を開発。久慈市在住。

琥珀染を開発した京友禅伝統工芸士の椎名淳夫氏の工房を訪ね、企業秘密「秘伝」である「久慈の琥珀染」染色技法の全てを習得した。

現在は、手作り工房やませみを主宰し「久慈の琥珀染」を主に染物制作に意欲的に取り組んでいる。